その名の通り、高い山に登ると発症する可能性のある病気です。
それってエベレストやマッターホルンみたいな超高山を登る登山家向けの話じゃないの?と思ったあなた、ちょっと待った!
実は、気軽に参加できるパックツアーやトレッキング旅行でも高山病になるリスクがあるんです。
海外旅行を計画中のあなたにこそ知ってほしい、高山病の基礎知識をまとめました!
もくじ
高山病とは?
高山病とは、標高の高い場所で酸素が不足することによって発症する体調不良の総称です。特に短時間で高所に移動した場合、体が気圧の変化に適応しきれず、頭痛や不眠などの症状が現れることがあります。ひどい場合は命に関わることも。

一般的に標高2,500メートル以上で発症しやすいとされていますが、子どもや妊婦、高齢者は1,500~2,000メートル程度から注意が必要です。
「登山しなければ大丈夫!」と思うかもしれませんが、観光目的で標高の高い都市を訪れるだけでも発症するリスクがあります。トレッキングツアーに参加する場合も、思いのほか標高が高い地点まで行くことがあるので要注意。
もし不安があるなら、事前に主治医に相談しておきましょう。
高山病に注意したい都市

飛行機で直接行ける都市は特に注意が必要です。中央アジアや南米には標高の高い空港が点在しています。
- 中国:稲城亜丁空港(標高4,411m)
- チベット:チャムド・バンダ空港(標高4,334m)
- ペルー:チンチェロ国際空港(標高3,720m)
- ボリビア:エル・アルト国際空港(標高4,061m)
- コロンビア:エルドラド国際空港(標高2,548m)
都市自体の標高がそこまで高くなくても、登山鉄道やケーブルカーで一気に高所へ移動することもあります。自分がどのくらいの標高にいるのか、常に意識しておきましょう。
高山病の症状
高山病の症状は大きく3つに分かれます。

1. 山酔い(AMS:Acute Mountain Sickness)
最も一般的な症状で、二日酔いに似た頭痛や倦怠感、食欲不振、吐き気などがみられます。発症は高地到着後6~12時間後が一般的で、標高1,200~1,800メートルでも発症することがあります。
2. 高地脳浮腫(HACE:High-Altitude Cerebral Edema)
重症化すると脳がむくみ、意識障害や歩行困難が現れます。錯乱や強い眠気で判断力が低下し、放置すると命の危険も。
3. 高地肺浮腫(HAPE:High-Altitude Pulmonary Edema)
高所到達後24~96時間で発症することがあり、重症化すると呼吸困難やせきが現れます。最も死亡リスクが高い高山病の症状なので、すぐに低地へ移動する必要があります。
高山病になったら?
高山病はゆっくり進行するため、早めに対処すれば命を落とすことはほぼありません。以下の3点を覚えておきましょう。
- 早期症状を知る
- 異変を感じたら、それ以上登らない
- 症状が悪化するなら、すぐに低地へ移動
無理をしないことが何より大切です。
特に注意すべき人

団体ツアー参加者
ある調査によると、個人旅行よりも団体旅行の参加者のほうが高山病で命を落とす確率が高いといわれています。
理由は、
- 団体行動のため無理をしがち
- スケジュールが詰め込まれがち
- 「せっかく来たから…」と頑張りすぎる
周りのペースに合わせるのではなく、自分の体調を最優先にしましょう。
高齢者・子供・妊婦
- 70歳以上の高齢者は体力や循環機能の低下により高山病になりやすい。
- 子どもは体調不良を言葉でうまく伝えられないため、症状の見極めが難しい。
- 妊婦は体調が変化しやすいため、できる限り高地を避けるのが無難。
「マタ旅」を考えている方は特に慎重に!
日射病にも要注意!

日本が冬でも、南半球のペルーやボリビアは真夏。さらに標高の高い場所は大気が薄く、紫外線が強烈です。
- 帽子や長袖を着用
- 日焼け止めの使用
- こまめな水分・塩分補給
日射病対策も万全に!
高山病と海外旅行保険
高山病で病院を受診したり、薬を購入した場合、海外旅行保険が適用されます。
ただし、山岳登攀(ピッケルやアイゼンを使用する登山)中の高山病は補償対象外になる場合があるので注意しましょう。
リスクをしっかり理解し、安全に海外旅行を楽しんでくださいね!